東京を拠点にFunkotでDJをしている政(まさ)と申します。ちょうど一年前に「Funkotのフリートラックの紹介(2020)」という記事を書きましたので、funkotの入手に興味のある方は是非ご一読ください。
また、Funkot関連の情報(Funkotの入手方法など含む)はティッケー情報さんのサイトにまとめられておりますので、併せてご覧ください。(ページはこちら→ティッケー情報!!)
今回は個人的に気に入っている現地産(インドネシア人による)funkotのミックステープを紹介したいと思います。
- はじめに
- マンダリン(中国語歌謡のFunkot)のミックス(2015)
- Hardfunk(ハードなインストモノFunkot)のミックス(2015)
- インドネシアのFunkotマニア、Akbarによるミックス(2020)
- 現地トップリミキサーが実際に現地のクラブでプレイしたセットの録音(2019)
- FunkotがFunkotと呼ばれるようになる前のミックス(年不明)
- おわりに
はじめに
Funkotの大きな特徴の一つに、BPMとイントロ・アウトロの展開が固定されている、というところがあります。これはひとえにミックスのしやすさを追求した結果であり、翻ればFunkotはミックスされてなんぼの音楽であると言えます。
そこで、今回はFunkotのミックスに焦点を当てて、聴き始めた方から少し詳しい方まで楽しめるようなミックスを選んでみました。
マンダリン(中国語歌謡のFunkot)のミックス(2015)
一つ目は、インドネシアのトップリミキサー、Willyによるマンダリン(中国語歌謡のFunkot)のミックスです。
サウンド、展開ともにまさにFunkotのミックスの教科書のような安定感があります。
注目ポイントは、4曲目に宇多田ヒカルのFirst Loveが入っているところ(ちなみにこの曲はDJ RonnyのBandcampで購入することができます)。マンダリンのMixといいつつ日本の楽曲も使われているあたりが、国境やジャンルを全く気にせずなんでも呑みこむFunkotというスタイルらしくてよいですね(しれっと3曲目も韓国語の曲だし…)。
個人的なお気に入りポイントは最後のトラック、张杰 - 他不懂のリミックスのエンディング感です。パーティーの終わりでかかったら泣いてしまうかもしれません。
Hardfunk(ハードなインストモノFunkot)のミックス(2015)
二つ目は、KMI™(現955™)による、Hardfunkと呼ばれるハードなインストモノのFunkot mixです。
ほぼインストオンリーの疾走感あふれるミックスながらも、4つ打ちやハードスタイルのダウンビートを適所に挟むことで、飽きの来ない展開になっています。
個人的なお気に入りポイントは10曲目のLeathal Sea 955(この曲もDJ RonnyのBandcampで購入することができます)。mixのクライマックスに、往年の歌モノトランスの大アンセムであるDelerium - Silenceネタをもってくるのが絶妙です。
インドネシアのFunkotマニア、Akbarによるミックス(2020)
三つ目は、インドネシアのFunkotマニアともいうべきAkbarのオーダートラックを中心に構成されている(と思われる)Funkot Mixです。
少し上級者向けの話にはなりますが、AkbarはLBDJSのWillyをはじめ有名なリミキサーに2018年ごろから多数トラックをオーダーしています。その多くはFunkoterにはおなじみの定番ネタであるため、かなりFunkotに詳しい人物であると思われます。このミックスでは、そうしたFunkotの定番ネタの数々を比較的最近のサウンドで堪能することができます。
注目ポイントは1:25:26~のWilly - I Need A Doctorです。この曲は最近の流行りであるFunkot Revolutiont的な展開がなされています(Funkot RevolutionについてはYuma氏のこちら の記事で詳しく紹介されています)。
個人的なお気に入りポイントは43:41~のAndy - Childrenです。原曲のepicさを残しながらも、Hardfunkでお馴染みのBailarを効かせたメリハリのある展開が気に入っています。
現地トップリミキサーが実際に現地のクラブでプレイしたセットの録音(2019)
四つ目は、インドネシアのトップリミキサーであるNoX2がKantor Discotheque(おそらくスラバヤにあるクラブ?)にてプレイした際のFunkot Mixです。
タイトルに"Aug17"とありますが、8月17日はインドネシアの独立記念日であり、この日は国内全体が祝賀ムードに包まれ、多くのイベントが開催されます。この日の録音を公開したのは、クラブイベントもやはりそれだけ盛り上がるため、渾身のプレイを披露することができたからかと思われます。
注目ポイントは、ダウンビート楽曲同士をダウンビート部分でつなぐ展開が多用されているところです。2時間近くあるロングミックスながらも聴きやすいミックスになっています。ところどころ入るMCも現場の雰囲気を感じられてよいです。
個人的なお気に入りポイントは1曲目のAndy - The Evil。しょっぱなからダークな雰囲気の4つ打ちで始まるのでインパクトがあります。
FunkotがFunkotと呼ばれるようになる前のミックス(年不明)
最後に紹介するのは、おそらく2000年ごろの楽曲で構成されていると思われる、詳細不明のミックスです(幸いなことにdescriptionにトラックリストだけは載っています)。現在ではほとんど聞かなくなってしまったネタもありますが、大半はFunkotの超定番ネタとして認知されている曲ばかりです。
Funkotについて少しかじったことのある方ならば、Funkotがハウスミュージックから派生したものであるということはご存じかと思います。ただ、そうは言われてもにわかには信じがたいのが本音かと思われます。
しかし、このミックスはいわゆるファンキービート("ドッタドッドタ"というリズム)と4つ打ちのビートが半々くらいで使われており、Funkotがハウスミュージック由来であるということを実感できるミックスになっています。
注目ポイントは14曲目のpoem without wordsです。もちろんFunkotの定番ネタということもありますが、裏拍で鳴っている鈍いシンバル(キンッキンッという金属音っぽい音)のようなサンプル音は、現在ではFunkot以外ではイギリス発祥のScouse Houseでしか聴くことができません。こうした部分からも、Funkotとハウスの深いつながりを感じることができます。
おわりに
はじめにも書きましたが、Funkotはミックスされてなんぼの音楽といえます。Funkotに興味のある方は、ぜひティッケー情報さんなどを覗いていただき、音源を集めてフリーのDJソフトや安いコントローラーなどでミックスしてみることをおすすめします。好きな曲を繋いでノリノリになるのは楽しいですよ。
ミックスの方法はDugem Rising TeamのSUAMA氏のブログをはじめ、様々な方が発信されています。今回の記事で紹介したmixなどを参考に、ぜひとも自分なりのFunkot mixを作ったり、見つけてみたりしてはいかがでしょうか。